第166章 本当にやられた

ネットで石井晋の件を知った彼女は、思わず胸の内でほくそ笑んだ。――ようやく、水野佑奈に少しは厄介ごとを押しつけられる。

もっとも、有川紘樹が今ごろ心乱れているのは目に見えている。だからこそ彼女は、わざわざ時間をかけてスープを煮込み、有川グループへ足を運んだ。ついでに紘樹の前で好感度を稼ぐ、絶好の機会でもある。

佐伯薫と有川紘樹の関係が浅くないことは、受付の間ですでに噂が飛び交っていた。いまや佐伯薫は、有川グループへの出入りにいちいち取り次ぎなど要らない。

エレベーターで滞りなく上層へ上がり、最上階の社長室へ。

佐伯薫はオフィスのドアをそっと押し開けた。ちょうどそのとき、有川紘樹は石井...

ログインして続きを読む